PSR-60 THE NEXT STAGE
今から6年前(2012年)に作った、PSR-60 は名竿と言われ多数のお客様に愛用して頂いております。
その初代PSR-60がなぜ名竿と呼ばれるのか、その理由を探るとそこにはアジの餌が小魚からプランクトンに変わってしまった時期と重なってくることがよく分かります。
プランクトンパターンは昔から冬の時期にいわゆるアミパターンとして存在しており、アミパターンになったメバルやアジは非常に難しいとよく言われておりました。
その当時は小魚がアジのメインベイトで、すなわち逃げるものをアジは主食としておりました。
そうすると他よりも目立つようなアクションを付け、ワームを際立たせることによりアジの食い気を誘うという釣り方が主でした。ところがプランクトン(アミ)パターンの場合、プランクトンは小魚のように逃げないので、それを主食とした時のアジは逃げるものに反応しなくなるため、通常のリアクションの釣り方に反応しなくなり難しいと言われたのです。
そして当時からから海がどんどん富栄養化してきたことでプランクトンが増え、アジの主食も小魚からプランクトンに変化し釣り方もいわゆる“止め”の釣りをしないとアジを釣るのが難しくなってきました。
しかしながらPSR-60の発売当時は、まだまだ一般の釣り人にその意識の浸透は薄く、リアクション全盛の時代だったため、ロッドはパッツン系と言われる棒のようなファーストアクションが多く、いかにジグヘッドをレスポンス良く動かせるかをテーマにしたロッドばかりでした。
そんな中発売されたPSR-60は、アジングロッドにその当時なかった6ftというショートレングスとファーストアクション全盛の時代にミディアムスローアクションでの発売だった。
この意図は、釣り人の殆どがリアクションでアジを反応させようとロッドをガンガン動かすのですが、そうするとジグヘッドがアジのいるところからドンドン離れてしまい、アジは逃げるものを追い掛けないようになっているため釣れないわけで、逆に言うと動かさなければアジはワームを見つけ食ってきます。ですからスローアクションにすることにより、釣り人が思っている以上にジグヘッドの動きを抑制しようとしたわけです。
その思惑が見事にはまり、PSR-60は良く釣れるロッドと呼ばれるようになりました。
このようにPSRの冠は、34にとって一つのターニングポイントに出されるロッドなのです。
そして今回のPSR-60 THE NEXT STAGE も同様、今までなかったようなロッドになっております。
今回のテーマは、軽量ジグヘッドに特化しながら重量ジグヘッドにも対応するという、極めて矛盾したことを成し遂げようとしたわけです。
開発するに当たってどちらが先かと言えば、先ずは今の時代、軽量ジグヘッドに特化させたいので、その為にロッド製作をどのようにしていくかから考えました。軽量ジグヘッドを使用する上で究極のロッドは、ムーティングロッドではないかと僕は思っております。
鞭のようにしならせることで物を投げる。そうすることで軽いものもロッドのしなりでより遠くに投げることが可能になる。
そうする為にはもっともっと細身にしないと振り抜いた時にロッドのしなりが使えない。しかし、34のロッド作りは当初から2ピースロッドの継を逆並継にしてきました。
この継方はバット側の本体にトップ側を被せるようにして繋ぎますから、どうしてもトップ側の継ぎ目が太くなります。振り抜けを良くする上で、逆並継はやはり抵抗になると思われ、それを変えるには印籠継か並継にするしかありません。ところが印籠継にすると別素材のフェルールと言われる継ぎ目素材を入れないといけないため、その部分のベンディングがどうしても歪になる点とフェルールの違和感が嫌なので印籠継は僕の頭にはなかった。
こういった経緯もあり、消去法で並継を採用してテストを始めました。初期モデルのPSR-60は変則ツーピースでしたが、それはバランスの関係で、手元側に継ぎ目を持ってくることで重心をグリップ側に持ってきたかったのと各セクションを分けたかったからです。今回のロッドも最初はそうしようと思いましたが、60NEXTはセクションを二つに出来ないかと考えていたので、敢えて変則ではなくノーマルのツーピースで試作を始めました。
意図は、トップ部分を最大限しならせて、そのしなりをバット部分で止め反動を付けることにより軽量ジグヘッドの飛距離を伸ばそうと考えた訳で、その為にバット部分の長さが必要と判断してノーマルを選択しました。
それは重量ジグヘッドの操作感にも影響するとも言えるからです。
問題はどこまで細身にしたら良いのか?ということなのですが、耐久性の問題もあり、その兼ね合いの太さを選択するのに試行錯誤が待っていた。細く柔らかく尚且つ操作感を軽量ジグヘッド、重量ジグヘッドともに扱える太さを出していくことに苦労しましたが、何度目のプロトか忘れるくらい作って、ようやく納得のいくものが出来上がりました。
実は、今回のロッドは初代PSR-60を作った時に構想はあったのです。もっと言えばアジングを始めた頃に遡るかも知れません。僕はフライフィッシングが好きであのロッドのしなりでラインを送り出しシューティングする様が大好きなのです。ですから昔からの夢はクリスマス島に行き、フライでボーンフィッシュを釣ることだったのです(笑)
そのようなしなりをPSR-60に求め、そして次は『もっとしなるロッドを』との思いを温めてきたのです。
そしてアジの餌が殆どプランクトンを主食とし出した今、とうとう軽量ジグヘッドを思うままに投げ操れ、はたまた重いジグヘッドも違和感なく操作でき、本当に皆様のお役に立てるロッドが出来上がりました。
ロッドがアジを釣ってくれると言っても過言ではないくらいの “名竿”が誕生したと思います。
34代表 家邊克己
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